S&P500上位銘柄、投資の神様ウォーレン・バフェットが経営している会社「バークシャー・ハサウェイ」

「投資会社だろう?」と思いがちですが、実は単純な投資会社ではありません。
保険 ・鉄道・エネルギー(電気・ガス)・小売り・サービスなど様々な業界に子会社を持ち、連結従業員計36万人を超える巨大グループです。

連結従業員数は日本5大商社の合計と同じレベルですが、
バークシャー社の純利益は5大商社の合計の倍以上です!

今回はバークシャー社2020年度の年次報告書(Annual Report。英文148ページ)から、バークシャー社の事業や財務状況、S&P500との比較を見ましょう。
バークシャー 対 S&P500
バークシャー社2020年度の年次報告書のページ4に「バークシャー対S&P500」という表があります。

1965年の1万円 → 2020年の2億8千万円
「ほら見ろ、我々がS&P500に圧勝するぞ」というアピールでしょうか。
1965年に1万円をバークシャー社に投資したら、平均年利20%で増殖して
2020年に1万円が2億8千万円になります。

一方、1965年に1万円をS&P500に投資したら、平均年利10.2%の結果、
2020年に1万円が「ただの」234万円になります。
なんと100倍以上の差があります。

年利10.2%、約7年で倍になる。十分すごいですが。。。
1996年以降の積立投資なら、S&P500が勝つ
この表だけを見たら、
「バークシャー社すごい!S&P500をやめて、全額バークシャー社につっこもう!」
と思う人もいるでしょう。

しかし、中身をよく見たら、「バークシャー社は昔がすごかった」ということがわかります。
例えば1979年、バークシャー社の資産増減率が102.5%(倍になった!)に対して、S&P500が18.2%でしたが、

近年(特に2010年以降)を見ると、バークシャーが圧勝する状況がほとんどなくなりました。

(年次報告書の数字を抜粋)

2011年に1万円をそれぞれ投資したら、2020年にどなるでしょう?
バークシャー社の場合、1万円が28,850円になります。
一方、S&P500の場合、1万円が36,710円になります。

2011年から毎年1万円、連続10年間の積立投資ならどうなるでしょう?
バークシャー社の場合、10万円が18万5千円になります。
一方、S&P500の場合、10万円が22万8千円になります。

2001年から毎年1万円、連続20年間に投資すると、
バークシャー社の場合、20万円が57万4千円になります;
一方、S&P500の場合、20万円が67万7千円になります。


2001年から毎年100万円をS&P500に投資して、計2000万円を投資したら、今は6772万円!
また、「1996年以降の積立投資は、S&P500が勝つ」という結果はエクセルの計算でわかりました。

だから、「私が死んだらS&P500を買え」とバフェットが妻に言ったわけです。

バークシャーの事業
バークシャー社の年次報告書を読んでわかったのは、投資の話がほとんどありません。
保険、鉄道事業など子会社の経営・収益状況の話ばっかりです。
保険事業
バークシャー社が世界最大級の損害保険事業を持っています。
それで投資のタネ銭を集めます。

保険に加入する人から保険金を受け取ってから、支払うまでの期間を利用して、保険金を投資しています。
ソフトバンクが10兆円のファンドをつくりたいから、 サウジアラビアのお金持ちからお金を借りるために、年利7%を保証したようです。

一方、バークシャー社は実質無利息で数十兆円を集めて運用しています。

もし年利7%で10兆円を借りたら、毎年の利息が7,000億円
(´⊙ω⊙`)!
- GEICO
- Berkshire Hathaway Primary Group
- Berkshire Hathaway Reinsurance Group
日本で全然聞かない会社ですが、
従業員計51,200人、
ドイツ、イギリス、アイルランド、オーストラリア、南アフリカに支店を持つ大グループです。
鉄道事業
バークシャー社がBNSFという北米の貨物鉄道会社を持っていて、37,000km以上の鉄道線路を保有しています。

日本全国(JR、都営、市営、私鉄)の鉄道線路の合計(約26,000km)と比べたら、約1.4倍です。

コロナで乗客数がおちこんで、JR各社は今まで聞いたことのない巨額の赤字を出していますが、BNSFは「貨物」の鉄道会社ですから、ビクともしないです。
2020年度の税後利益は5,677億円でして、2019年度の6,029億円からほぼ横ばいです。

エネルギー事業
Berkshire Hathaway Energy(BHE)という子会社が34,000kmのガスパイプラインを運営しています。
(日本全国は数千km程度)

また、水力、原子力、火力、地熱発電所があり、設備の発電容量が33GWを超え、関西電力と同じ規模です。

製造業
バークシャー社は製造会社(メーカー)の子会社をたくさん持っています。
特殊化学品、宇宙関連製品、住宅材、キャンピングカー、アルカリ電池、アパレル、宝石などを作ています。
ほとんどが日本で聞いたことのないブランドですが、雇用人数が18万人弱です。

このケチャップはどこかで見たことありますか?

バークシャー社の子会社ではありませんが、バークシャー社がKraft Heinz社の26.6%の株を持っています。
サービス・小売り業
サービス業として、物流、薬局、レストラン、航空関連トレーニングプログラム、メディア分野を参入しています。
小売業として、自動車ディーラー、家具、貴金属、お菓子、キチン用品、バイク用品、おもちゃ、芸術品を販売しています。

日本の商社のように、カップ麺からロケットまでやっているので、アメリカの商社と言ってもいいでしょう。

バークシャーの財務状況
2020年度売上27兆円、株主に還元できる純利益は4.7兆円です。
一方、日本の5大商社2021年3月期の売上は合計42兆円で、純利益は9817億円です。
さすがバフェットです。

日本の商社への投資
バークシャー社の子会社はカップ麺からロケットまでやっているので、「アメリカの商社」と言ってもいいぐらいです。
2020年8月に、バフェットが日本5大商社の5%の株を取得したニュースがありました。
「商社の実態はつかみにくいから、投資先として人気がない」という解説も聞いたことがありますが、同業ならその心配は少ないでしょう?

それでは、ザイジェン!
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