「台湾が国産ワクチン?なぜ日本より早い?日本の開発状況は?」
と気になるため、台湾の生の情報も含めていろいろ調べました。
台湾出身の私が毎日のように台湾のニュースを見ているので、
「なぜ台湾が日本より早く国産ワクチンを投入したのか」
私なりに分析しまして、理由をまとめました。
結論:
「台湾は仕方がないから、未完成と言われてもおかしくないワクチンを投入しました」
「日本の開発状況は台湾より遅れていると言えません」
台湾自主製ワクチン・基本情報
製薬会社
台湾のMVC社+米国のダイナワクス テクノロジーズ社(共同開発)
ワクチン名
MVC(中国語名:高端)
接種予約日
2021年8月16日
接種開始日
2021年8月23日

引用元:蔡英文総統フェイスブック
日本より早い理由
カンタンにいえば、
臨床試験フェーズ3をパスしたからです。
現在日本が確保した「ファイザー製、モデルナ製、アストラゼネカ製」のワクチンはすべて臨床試験フェーズ3をたってからの使用です。
- 探索段階
- 臨床前段階
- 臨床試験フェーズ1(少人数の健康な成人で安全性を確認)
- 臨床試験フェーズ2(少数の被験者で用法・容量を調査)
- 臨床試験フェーズ3(多数の被験者で有効性と安全性を確認)
- 承認
- 製造
一方、台湾のMVC製のワクチンは臨床試験フェーズ2をパスした段階で、
他の方法注でワクチンの有効性を確認して、台湾政府が承認をしました。
台湾のMVC製ワクチンは「免疫ブリージング(Immunobridging)方式」を採用し、アストラゼネカ製ワクチンの中和抗体(Neutralizing Antibody)を治療効果の指標にした。
「免疫ブリージング方式」でワクチンの有効性を確認した前例はありますが、
コロナ(COVID19)のワクチンに適用するのは世界初。
~BBCニュース(中国語)~
https://www.bbc.com/zhongwen/trad/chinese-news-58280257

「このやり方で大丈夫?」と台湾内部でも激しく議論していました
日本の開発状況
日本国産ワクチン5種類のうち、4種類は今年中に臨床試験フェーズ3を予定しています。
開発状況は台湾に遅れていると言えません。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00223.html
台湾が急ぐ3つの理由
理由は主に以下3つといえます。
1.ウイルスの変異が速い
2.ワクチンの調達が難航
3.政権の支持率が低迷
ウイルスの変異が速い
ワクチンを接種したのに、デルタ変異種で感染率が下がらない現象は世界中に起きています。
「だらだらして臨床試験フェーズ3を行ってから承認したら、効果が薄くなるでしょう」
という考え方です。
ワクチンの調達が難航
本日まで、日本から3回、計337万接種分のワクチンが台湾に届きました。
日本からワクチンが届くたびに、「日本ありがとう!」と私のフェースブックはにぎやかでした。

大変感謝です!!
また、
アメリカ から250万接種分
チェコ から3万接種分
リトアニア から2万接種分
スロバキア から1万接種分
寄付のかたちで、友好的な国々からワクチンをたくさんいただきました。

しかし、政治的な理由で、力の問題で、買いたくても買えないです。
例えば、台湾はドイツのBNT社から直接ワクチンを購入すると交渉してみました。
しかしBNT社は中国にワクチンを販売しているため、台湾への直接販売は禁じられています。
また、世界中の国々みんなワクチンが欲しいなか、力の強い国が製薬会社を督促したら、どうしても優先される現状があります。

政権の支持率が低迷
「台湾は他の国の寄付のワクチンしかもらえないのか?政府は何をしているのか?」
という批判が数か月前から聞こえてきました。
また、緊急事態宣言やロックダウンなど全くなかった、コロナ対策優等生の台湾の状況は、
今年から一変しました。
高い支持率を獲得し続けてきた蔡英文総統の不支持率は支持率を超えてしまいました。
(総統選再選してから初めて)
「国産ワクチンでなんとかしなくちゃ」という思いがあるでしょう。

まとめ:台湾は仕方がない。日本は遅れていない。
台湾は主に政治的な理由で、臨床試験フェーズ3を実行する前に、国産ワクチンを早期承認しました。
日本の場合はまた違うため、国内メーカーは早期承認のプレッシャーがありません。
今年中に臨床試験フェーズ3を予定しているので、開発スピードは台湾に遅れていないと言えるでしょう。

選べるなら、フェーズ3検証後のワクチンを受けたいですね。
それでは、ザイジェン!
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